下町っ子の上の空 : 続　大泉学園　極ダイニング清水

信仰とは・・・

私の友人の友人であるAさんの話です。
Aさんと友人は、中学、高校、大学（テニス部）で一緒だった仲だそうです。
そのAさんがステージ4の肝臓がんになり、治療のために東京から沖縄に渡りました。
まずここで変です、なんで末期癌の人が、ステージ4の歩けない体で沖縄にいくのでしょうか。
これは彼の奥さんの信じている宗教の「教義」なのだそうです。
彼の奥さんはスペイン生まれの香港人でその宗教の中堅幹部なのです。
献金すればすれるほど地位があがるのだそうです。
奥さんは、日本語が得意でないので、私の友人が「移転手続き」の代行をするために、沖縄に呼びました。
彼には子供が2人いますが、1人は連れ子でフィリピン在住、1人は自分の子供でシンガポール在住ですが、なんで子ども達に頼まないで、私の友人に頼んだのかなと思いました。
沖縄移転後、1か月後に、Aさんは亡くなりました。
そこで奥さんから私の友人にメールが入りました。
宗教の「教義」で火葬はできないのですが、なぜか沖縄では土葬を禁止されています。
どこか紹介してください、との内容でした。
そこで彼が調べて茨城県の墓地を紹介しました。
そこで奥さんは外国人向の葬儀屋に相談して埋葬許可等をとったそうです。
それなら最初からその葬儀屋に頼めばよかったのにと思いました。
個人的にはAさんの最終地を決める際に「土葬可」の有無を調べてから行くべきだったと思いました。
後から驚くのでは遅く、最初に確認しておくことが大切だったと思います。
葬儀の日。
冷凍保存された遺体を車に積み、東京から茨城へ向かいました。
同行したのは、奥さん、二人の子ども、Aさんの弟夫婦、そして友人夫婦の7人だけ。
車中では弟の妻が場を和ませようと饒舌でしたが、他の皆は無言でした。
特に弟は、生前兄と不仲であったため、必要以上の言葉は発しなかったそうです。
墓地につきました。
腰の曲がった老人が、棺桶が入る穴を、ユンボで開けて待っていました。
皆がそろうと、棺桶に長い帯をかけて吊って、穴の底に棺桶を平らにおいて、その後、事務的に土を埋め戻して終わりです。
外国の宗教ですから線香も手向けません。
そこに10㎝×30㎝のプラスチックの墓碑銘を置いて葬儀は終了したそうです。
まるで土木工事の立ち合いのようだったと友人は言っていました。
死者を送る儀式である以上、本来はもっと悲しみを共有する時間であってほしいと思わずにはいられません。
この話の結末なのですが、Aさんは資産家で推定遺産は3億円だそうです。
多分，ほとんどがその宗教団体に献金されるみたいです。
死にゆく夫よりも、信仰と献金に関心を傾けていた奥さんの姿を思うと、なんとも哀れな話であります。
人間はお金があっても必ずしも幸せではないというお話であります。