今日は「新橋演舞場で歌舞伎を観る」です
生まれて初めて生の歌舞伎を奥様と観に行きました。
実は歌舞伎好きです。
よくTV桟敷で観ていました。
しか〜し実演の歌舞伎(除一幕見席)は観に行った事がありません。
正しく申せば行けなかったのです。
一つには観劇料金が高いことです。
二つには歌舞伎演者の口跡を聞きとれない不安です。
TV桟敷ですとNHKアナウンサーの滑舌良い筋書き解説が入りますし、加えて難解な台詞が多用される演目につきましてはあらかじめ字幕が入りますので私の懸念する不安は解消されるのです。

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かかる中、今回は奥様が市川猿之助ファンだということで、今回新橋演舞場「十月花形歌舞伎」の公演のチケットを大枚はたいて求めたのです。
これって便乗するしかないですよね(笑)
ということで宜しかったらお付き合いください。

#新橋演舞場です
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銀座の歌舞伎座へは一幕見席(いちまくみせき)で歌舞伎を観るために入館した事があります。
しか〜し観る場所が4階でしょう、野球を外野席最上段で観る様なものですので、入った事があるとはいいながらまさに東大記念受験みたいなものでした。
そのようなものですので歌舞伎座より縁遠い新橋演舞場などは旧日産本社の裏にある程度の存在感でした。
訪れてみましたら画像の通り良くもここまで年配のご婦人を集めたものだな、というのが実感であります。

#イヤホンガイド売場です
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レンタル料は1,700円ですが、返却しますと1,000円が却ってきますので実質は700円です。
イヤホンガイドとは、音声の「同時解説」で舞台の進行に合わせてあらすじ・配役・衣裳・道具・歌舞伎の独特な約束事などを、タイミングよく、楽しく説明してくれるものです。
歌舞伎観劇の必需品でしょう。
To be honest,最初は役者の口跡が良く分からなかったのですが、このイヤホンガイドの説明のおかげで、このような事を言うのなだなぁ、とあらかじめ擦り込んでおけば、日本語ですので次第にその口跡は理解できるようになってきました。
歌舞伎言葉は古い言葉をゆっくりと話すので行間が読めないのです。
要はあまりたいした事をいっていないのにもかかわらずゆっくりと話すので、必然情報量が不足し行間がよめず、その為に何をいわんとするのか判断できなくなるのです
歌舞伎ガイドでは、時代を超えて舞台で生き続ける言葉の意味を知ることで歌舞伎はもっと面白くなります、としていますが、今のままですとその内に飽きられると思いますよ・・・
顧客視点が欠落しているからです。
よく七代目尾上菊五郎(寺島しのぶの父)は、歌舞伎には不易流行(残し伝えるべきものを残し、変えるべきものを変えること)が重要だ、と折にふれて言われていますが、ちょっと不遜ではないかなと思っています。
歌舞伎初観劇の私ですので、良く分かりもせずこのような事を言っている私の方が不遜なのかもしれませんね。

#座席です
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座席は奥様が奮発して一等席です。
場所は「ツケ打ち」さんの真ん前です。
「ツケ打ち」さんとは、役者さんの演技に合わせて、立回り、歩く、走り出す、モノをぶっこわす、モノを投げつける、人を斬る、そして見得等に対して板を鳴らして効果音作りをする人です。
したがいましてtoo noisyなのです。
特に駆け足・早足を強調するときのバタバタ音は耳に厳しいものがあります。
言い換えれば迫力満点であるともいえます、ハイ。

#新橋演舞場館内です
館内の雰囲気です。
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勘九郎さんも歌舞伎座公演の来場お願いを何度も繰り返していました・・・
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ご存じ花道です。劇場に入ると目につくのが舞台に向かって左側にある一本の道です。
はなやかで美しい、まさに歌舞伎の華の通り道なのです。
役者さんが登場したり、または退場していく時の通路ですが、変幻自在に変化する舞台の一部でもあります。

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桟敷席です。
堀リこたつ式の座席で、他の観客席より高い場所に位置しています。
頼べば、お茶や食事を席まで届けてもらえるというセレブの席なのですが、一等席と値段は1,000円しか変わりません。一等席を押さえるのならこの席の方が絶対にお得だとおもうのですが、今回は奥様の財布ですのであえてそこには踏み込みませんでした。

#観劇の感想
「獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)」のあらすじは、 一幕目丹波の国、由留木家 に跡目争いがおこり、若君調之助の家督相続を妨害しようとする一味が、相続に必要な 宝物を奪おうと企てから始まって、四幕53段という長い長い構成の中で、最後の江戸日本橋において無事に宝物を奪い返すという話です。
17時半開演で21時に終演という3時間半の長丁場ですが、中身は宙乗り、本水(水道水の事)の立ち廻り、早変わり等歌舞伎の切り札をあますことなく出しきった作品ですので娯楽性最高です。
したがいましてあっという間に終わったというのが正直な感想です。
とても面白かったし心底楽しめました。

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上段画像はnetより転載
特にこのシーンは大迫力でした。
実際に客席にも水飛沫が飛んでいました。
蘊蓄ですが、かぶりつきというのは、劇場側はこのような飛沫がかかる最前列の客に対しては、「水」や「泥」などを避ける為に桐油(とうゆ)の「被り(かぶり)もの」を用意したのです。
「かぶりつき」というのは、この「被りもの」が「付いた」客席のことを指して、そう呼ぶようになったということです。
音声ガイドの説明からの引用です。
この説明だけでも元を取ったような気分です。

「歌舞伎は筋を楽しむものというより、役者の芸を楽しむもの」と言われています。
歌舞伎通に言わせますと、歌舞伎は好きなミュージシャンのプロモーションビデオを楽しむことに似た感覚とのことです。そこまでは達観できませんでしたが、理屈抜きに面白かったのは事実です。
再訪ですか・・・
奥様も観劇ちがうか感激していましたのでありでしょう。

一応B級グルメブログなので食べ物ネタをチョコっと・・・
#幕間のお弁当です
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幕間(まくあい)のお弁当です。
新橋の高級料亭の仕出しだそうです。
コンパクトに和tasteがぎっしりと詰まっています。
日本人に生れて良かったな、としみじみ思わせるお弁当でした。
味ですか、大変美味しゅうございました。

#sweetsの「切腹最中」です
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そもそもこのお店は、浅野内匠頭切腹された田村右京太夫屋敷に存する和菓子店として、「忠臣蔵」にまつわる数々の語り草が和菓子を通じて、皆様の口の端に上ればという思いを込めて、最中にたっぷりの餡を込めて切腹させてみさせたそうです

ななみに我社の年配の役員の方々はクレームの時に持参する必須手土産でした。
これを持って行く時には、本来なら腹を切ってお詫びするところでありますが、最中に腹を切らせましたのでお許しください、的な謝罪をしていたそうです。
さもありなんですか。
まさかまさかその伝説和菓子とここで出会うとは、クリビツしました。
画像の通り餡がつやつやしています。
味ですか、すごく美味しいです。
甘さもくどくなく、小豆の煮方が絶妙です。
これはたまらなく美味しいです。
和菓子好きの方には超お勧めであります!

それでは(^_-)