今日は「井之頭先生追慕 其の弐」
夏の後半のとある土曜日の午前中、井之頭先生に届けるものがあって学校に行きました。
用務員室に入ると道着を着ていない先生はどこにでもいるオジサンでした。
用を済ますと先生は暇だったみたいで、私を着座させて雑談をし始めました。
雑談と言いながらも内容は剣道に関するものだけでした。
小一時間もいたでしょうかおいとまする事にしました。

薬物中毒
学校の外に出ますと路上に人だかりができています。
そこには中心にいる何かを囲むように同心円状の輪ができています。
私は何が起こったのだろうとその輪の中をのぞき込むと、若い男性が年配の女性の髪の毛を左手で掴んで、その右手には包丁を持ちながら意味不明の言葉を吐き続けていました。
私の前でこわごわとのぞき込んでいるオバサンに、何があったのですか、聞くと、あの若い人が剥き出しの包丁を持って歩いていたので、近所のオバサンが「危ないじゃない」って注意をしたら、いきなり殴られたみたいよ。
そして髪の毛を掴まれてどこかに連れていくみたい。
あのオニイちゃん、クスリやっているみたいね、と説明してくれました。
当時はまだクスリでラリッている人間は沢山いたのでした。
警察は呼んだのですか、と聞けば、交番から来ているけど包丁を持っているので手がだせないみたい。
今、本署に応援を頼んでいるようよ、との事でした。
確かに、ババアを殺す。
殺されたくなかったら総理大臣を呼べ、とか、国会議事堂に火をつけるぞ、共産党は人殺しだ、とか話す内容は滅茶苦茶でした。
しばらくすると、私の後ろに先生が立っていました。
先生は私に向かって、あれは村井だな。
またクスリでラリッているみたいだ。
仕方ない野郎だ、と怒っていました。
先生に、知っている方ですか、と聞けば、昔、内の剣友会にいた奴だ、と言ってから円の中に入っていきました。

ヌンチャク
そして先生は村井と対峙しました。
先生は、村井、俺だ、若虎剣友会の井之頭だ。
俺のことわかるか、裂帛の気合でいうと、先生か、何の用だ、と答えています。
このババアが余計な事をいったのでぶっ殺してやるんだ。
先生も手出しをするとただじゃおかないぞ、と叫んでいました。
落ち着け、その奥さんは関係ない。
お前も男なら俺とサシで話そう。
まずはその奥さんを放しなさい、というと、先生、もしかして俺を捕まえようとしているのか、と言うと
男と男の話し合いだ。
なんでお前を捕まえなければならないんだ。
この通り丸腰だ。
まずはその奥さんを自由にしてやりなさい、という先生の背中にはヌンチャクが挿されていました。
先生は中国拳法も得意だったのです。
しばらく、放せ、放さない、やり取りが続きました。
村井が根負けして、オバサンの身体を話した瞬間、先生は背中に挿していたヌンチャクを取り出すと同時にそのヌンチャクの棒がヒューっと延びて村井の包丁を叩き落としていました。

関節技
そこから先生は村井の身体に組み付き体落としで地面に叩き落としますと、それからゴロゴロと二転三転した後、関節技でキメていました。
先生は、この一部始終を何もできずにただ見ていた警官に、ワッパ、ワッパをかけろ。
馬鹿、俺じゃない。
村井にかけるんだ、と叫んでいました。
警官はやっとのことで先生に押さえられていた村井に手錠をかけると、確保、確保、犯人確保、と自らが捕まえたような振る舞いをしていました。
そして猫を摘み上げるような仕草で村井の首を引っ張って立ち上がらせました。
村井はこの乱闘でクスリが切れたのか、大人しくその背中を丸めていました。
そして既に到着していた本署の警察官に両脇を抱えられパトカーの中へ乱暴に押し込まれていました。
その時、先生の火照った身体を冷ますように一足早い秋の風が吹き込んできました。
そして先生はただのオジサンに戻っていました。
この姿を見ていると、先ほどの巧みな武闘の技々がこの体のどこからでてきたのでしょうか。
不可思議な不一致です。
今このように思い返しますと、本当にすごい先生だったのだなとあらためて思い返すのであります。


上皇后さまピアノを演奏



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今日は西荻窪に出没です。
今日のお店はグルメ評論家の山本益弘さんに、このお店の「かつ丼」は日本一と言わせしめた名店です。

山本先生
お店の中にも彼の色紙があり以下のように書かれていました。
「坂本屋のかつ丼、いまや東京のかつ丼のお手本」
という事で今日のお店は「坂本屋」さんです。

住所: 東京都杉並区西荻北3-31-16
電話:03-3399-4207
定休日:月曜日・水曜日・金曜日・日曜日(11:30〜15:00)

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お店の外観です。

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店内の雰囲気です。

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メニューです。

今日のオーダー「かつ丼」@850円です。
なんともすごい行列です。
待つこと53分で店内に招き入れてもらいました。
この炎天下で小一時間立っていてよく熱中症にならなかったものです。
もっともここまで30分かけて大汗かいて自転車で来ていますので何をかいわんやであります。

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席に着きますとお水と唐辛子がセットされていました。

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厨房に目をやりますとご主人と奥様のツープラトン体制でした。
昔は、お祖父さんが「お運び」、お祖母さんが「洗い場」、ご主人が「油場兼板場」、奥さんが「板場(かつ丼専任)」、娘さんが「オーダー受け及びレジ」というフォーメーションで大家族的てした。
今やその人数も半分以下に減っておりました。

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待つこと13分で「かつ丼」が到着しました。
見た目、火が入りすぎているような感じがしましたが気のせいか。

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それでは実食です。
豚カツが揚げたてで尚カツ美味しいのです。
肉に甘さを感じます。
割り下はこれ以上甘くてもだめだし辛くてもだめという極限での調合です。
卵も硬いところとトロトロのところが共存していて私の好きな味わいです。
これはスーパー美味しいですね。
で~も、一番美味しいのは、豚カツの衣です。
ここの衣は高級仏蘭西料理のパイ生地の様にほのかの甘さとサクサク感を有しているのです。
これが割り下とトロトロ卵と絡み合って絶妙のコラボを生みだしているのです。
ご主人と奥様のツープラトン体制もその年齢から限界があるようです。
おふたりが元気なうちに再食しておきましょう。
ごちそうさまでした

それでは(^_-)