今日は「田所康夫」です。
田所康雄さんっていってわかるあなたは映画「男はつらいよ」のファンですね。
田所康雄さんとは国民的映画俳優の渥美清さんの本名です。
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田所さんはインテリで一応は中央大学に入学していますが、当時は戦後のどさくさで誰でも普通の大学には潜り込めてたのです。
その実態はノガミ(上野)のヤクザです。
後年、ご本人はある組によく出入りしていたがゲソは脱いでいない、と言い訳をしていました。
従いまして、いくら田所さんが上手に車寅二郎を演じても氏育ちは隠せません。
ときおり、すごむ暗い目つきはヤッちゃんです。私の「男はつらいよ」の楽しみ方は、ときおり見せるヤクザの田所さんを何回発見できるかでした。私も田所さん同じ下町生まれで、そのような方との付き合いはありましたので、彼らが醸し出す匂いはすぐわかるのです。
実際、葛飾柴又には、どうしようもない悪たれヤクザがいたのですが、カタギには優しかったので、好かれていました。しか〜し、最後はマムシに噛まれて死んだそうです。
それが寅さんのモデルだと地元では言われています。
ちなみにテレビでの寅さんはハブに噛まれて死んでいます。
要は「男はつらいよ」はヤッちゃんが演じる喜劇なのです。
私の親友の父親はテキヤでした。
正しくは車寅二郎はテキヤじゃないかという向きもありましょうが、私は友人の父の荒れ狂う振る舞いを見るたびに、ヤクザとテキヤって同一人種だとみなしていました。

実際、最初の頃の車寅二郎は、どこから見てもヤクザでしたから。
田所さんの素地は、ご子息田所健太郎さんの以下のカミングアウトからわかります。
父のいるテーブルに、たまたま僕が食器をポンと置くと、その動作が頭に来るのか、いきなり怒鳴るんです。
「なんだ、その置き方は」っとね。「いや、 普通に置いただけじゃない?」と言うと、「ぶざけるなっ」と怒鳴って、目茶 苦茶怒られ、殴られました。
殴られ、蹴られ、ときには髪の毛引っ張って引き摺り回されたこともありました。
酷いときには腹を殴られてゲロを 吐いてしまった僕を土下座させて、そのゲロの中に顔を擦り付けて謝らせるような、そんなこともありました。
もう、僕には何がなんだかわからないんです。
ちょっと食器を置いただけ、あるいは母が出したチーズを「お腹がいっぱいだからもういいよ」と断った瞬間に、いきなり殴り飛ばされるんです。


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話は跳躍します。
田所さんはモテ男なのです。
そのくだりについてご本人は、私と寅さんの大きな違いは、私は寅さんと違ってモテ男で、あれだけ毎回美女にフラレルような情けない男ではありません、とテレもせずに言われていました。
偶然に「夢で逢いましょう」のワンシーンで、渥美さんが妖艶な美女とカラんでいるシーンを見たのですが、それはどこから見てもジゴロのふるまいでかっこ良いものでした。
あの耳障りの良い声にさわやかな口舌は女性をトロケさすのにたいした時間は要さなかったでしょう。
渥美さんが何故面白いかと申せば、あの下駄のような顔をした人間が、しゃべればとろけるような美声でしかも歌を歌わせれば格段に上手いという落差でしょう。


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長じて、映画「祇園祭」を友人と観に行ったのですが、シリアスな場面なのに渥美清さんがスクリーンにでますと、観客は、寅さんが出ている、と大爆笑が起こっていました。
私はその時に渥美清さんの役者としての限界を見たような気がしました。
加えて、片方の肺がない田所さんにとって、寅さんを演じるだけがせいいっぱいとなるにつれ、新たなキャラクターへの挑戦は、精神的な面よりも肉体的な面が困難になっていったのでしょう。
ですから敢えて車寅二郎に傾斜していったのです。
芸風もヤクザ風から重厚な演技に徐々に変わっていきました。
だから27年48作も寅さんを演じ続ける事ができたのでしょう。

生前から「死に顔を皆に見せたくない。骨になってから皆に連絡してくれ」と家族に言い続けていたといわれています。このため、渥美さんの死はすぐにニュースにならず、公表されたのは遺族が密葬を終えたあとの7日午後だったそうです。
田所さんは完璧に渥美清を演じる為にプライベートは隠しました。
従いまして田所さんの奥さんが、山田洋二監督に夫が亡くなった旨の電話をいれた後、取り急ぎ弔問に行こうという事になったのですが、だれも田所さんの自宅を知らず大慌てしたそうです。
基本的に田所さんは、家族の事は松竹の映画関係者にはみじんも語らなかったそうです。
要はエブリデイ、エブリタイム、渥美清を演じていたのです。
なかなかできるものではありません。
昔の下町には田所さんのように公私の区別をきちんとされてる方がたくさんいました。
願わくは、私も田所さんのような公私をきちんと演じ分けられる人間になりたいと思う今日この頃であります。


映画「振り子」公式HP



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今日は新潟に出没です。

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いつもいくラーメン屋「龍華亭」さんが休みだったので、このお店「らーめん勝」に入ろうと思ったのですが、こんな炎天下にラーメンかと思って斜め前にあったファミレス風のレストランに踵の向きを変えたのです。
今日のお店は「レストラン メッセピア」さんです。

住所: 新潟県三条市須頃1-17
電話:0256-33-5841
定休日:毎月第一水曜日・年末年始

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お店の外観です。

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店内の雰囲気です。

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メニューです。

今日のオーダー「越後もち豚のロースト マスタードソース」@1,944円です。
外観はファミレスですが店内はゴージャスな雰囲気です。
しかも店内は燕三条セレブが目の子で30名もおり、おもわず女子会会場かと思ってしまいました。
しか〜しこれだけの女性がいると妙な迫力がります。
気分は間違えて女子更衣室に入ったような気分です。

待つこと5分で「越後もち豚のパテ」です。
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うん、これは滋味があって美味しいです。
なかなかここのシェフの腕はよさそうですね。

洋食器の街「燕三条」です。
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カトラリーが選べます。
私は有名デザイナーによるゴージャスなアメリカン「ビザンティン(山崎金属工業製)」
を選びました。このような気配りは大好きです。

待つこと12分で「枝豆とトマトのコンソメスープ、モッツレラチーズ入り」です。
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これは枝豆とトマトのゼラチンを壊してからいただきます。
美味しいではないですか。
ふくよかな味です。
たまりませんね。

待つこと12分で「越後もち豚のロースト マスタードソース」の到着です。
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見た目美味しそうです。

それでは実食です。
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ソース美味し、肉マズしです。
ソースが美味しいのに肉が美味しくありません。
硬いので噛みごたえがあるだけです。
食事した後、このお店に配車させたタクシーの運転手さんに越後もち豚の地元評価を聞きましたところ、地元じゃ誰も食べないよ、と申していました。
要は、地元評価はたいした事ないのでしょうね。
なんで作る前に試食しなかったのでしょうか・・・
地産地消にこだわり過ぎてしまった結実なのでしょう。

デザートのピーチスポンジのゼリーです。
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これが美味しい。
泡のようなツブツブが口内で踊ります。
甘さ抑えたスワーな味わいも高評価です。
美味しいです。
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お麩のラスクも美味しくできていました。
これまた美味しです。

ななんなのでしょう。
メインディシュ以外はみな美味しいというこの逆張りコースは?
ホールスタッフにその背景を聞きますと、このお店は、一般財団法人「燕三条地場産業振興センター」の経営なので浮沈艦だから鷹揚なのでは、と申していました。
それでも久々の逆「羊頭狗肉」のお店でしたのでまた来ます。
ここのシェフの技量はたいしたものです。

それでは(^_-)