今日は「気遣い」です。
日 本人は自分のつまらない話をしては相手に悪いと考え、どんなに悲しい時でもそれには一切触れず、一般的な世間話しかしません。
以前、ある日本人の紳士が私 に「どんな宝物をお持ちですか。御主人様は日本に長く住んでいらっしゃるから、色々な美術品を収集なされたでしょう」と尋ねたことがありました。
私は主人が収集したもののほとんどが、1923年の大震災で焼けてしまったとこぼしました。
私が、あれも、これも、それも・・・・・・と嘆くのを、紳士は同情しながら聞いてくれました。
続いて私が「その時は東京にいらっしゃいましたか、失われたものはありませんか」と尋ねました。
紳士は微笑を浮かべながら「妻子をなくしました」と答えました。私は愕然とし、懸命に紳士を慰めようとしましたが、彼の方は、私たちが楽しい話をしているかのように微笑み続けました。
キャサリン・サンソム「東京に暮らす」大久保美春 訳より転載

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キャサリンさんは、昭和の初め頃に東京に暮らしていたイギリス人です。
彼女はこのあとで、紳士は自分の悲しみよりも動揺する私を気づかって微笑んでいてくれたのだと書いています。
さらに、日本人は会話の中で自由にふるまうことができないけれど、それは優しさや気づかいのためなのだ、と書かれていました。
個人的には昔の日本人紳士の謙虚さにあらためて刮目させられました。

つい先だってポッドキャストで以下のような人生相談を聞きました。
埼玉在住の友人から誰が亡くなったのかが不明な喪中葉書が届きました。
気になってメールをしたところ、ごめん、話したくない、ごめんね、との返信がありました。
どうしたら良いでしょうか、という「悩み相談」です。

リスナーさん達から回答は以下のようなものです。

だいたい亡くなった人が誰なのかを聞くのは相手からしますと、人の不幸は蜜の味、と思われるでしょう。
ですので触れない方がよいでしょう。

親友の誰が亡くなった事を知る必要があるのかな。
親友が話したくないことを知らなければならないのかな。
知らないと親友との関係がこわれてしまうのかな。
親友が話したくなったら聞いてやればよいのではないのかな。

知りたい気持ちはわかりますが、今はそっとしておくべきです。
こういう事はしつこくしますと逆効果です。
いつか話してくれる日まで待ちましょう。
でも、誰が亡くなったのかを教えたくないのならそのような喪中葉書をださないでよ、というのも本音ではあります。
聞いても教えてくれないのなら気遣い無用でしょう。

いかがですか?
個人的には、そっとしておくべきでしょう。
言いたくなったら聞いてやれば良いと思います。

昔の言葉で「惻隠の情」というものがあります。
人が困っているのを見て、自分のことのように心を痛めるような、自他一如(いちにょ)の心もちの事を言います。
昨今、グローバル化の進展にともないこの「惻隠の情」が無くなりかけています。
特に英語が国際言語になりつつありますのでアングロサクソンの論理がこの隘路化を促進しています。
すなわちYES、NOをはっきり言わないといけない様な風潮になっているのです。
ビジネスの世界では仕方ありませんが、スーツを脱いでもそれを励行している方が多くなっています。
いかがなものでしょうか。
翻ってみますれば、「惻隠の情」は混迷の人類を救う鍵でもあります。
この美風を若い世代に伝えていくのが私たちの使命ではないかと思う今日この頃です。


今日は有楽町に出没です。
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このお店は数回行っていますが考えるところがあり取り上げませんでした。
まぁそれ程深い思い込みでもない事が最近分かりましたので今日ご紹介します。
今日のお店は季節料理「西田」さんです。

住所: 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 B1F
電話:03-3216-5429
定休日:日曜・祝日

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お店の外観です。

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メニューです。

今日のオーダー「若どり一口かつ定食」600円です。
このお店は多分兄弟と思われる老齢な二人が切り回しています。
このお店は厨房から店外が見えるらしく
「さあどうぞ!入ってください!」
「おひとりさま!すぐ入れますから!どうぞ!どうぞ!」と厨房の大将が発声しますと、まったく店外がみえないはずのホールの大将が唱和します。
結構大音量の発声ですから迫力があり、ブラックホールのように客を引き込みます。

待つこと1分で沢庵とキザミ昆布の突き出しが到着しました。
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この突き出しが絶妙にご飯に合うのです。

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待つこと2分でご飯とお味噌汁が到着しました。

待つこと3分で「若どり一口かつ」が到着しました。
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この「若どり一口かつ」の総数は7個です。
見た目美味しそうです。

それでは実食です。
柔らかい柔らかい一口かつです。
こんなにふわふわとした「若どり一口かつ」を食べたことはありません。
美味しいです。

マヨラーな私は途中でマヨネーズをお願いしましたところ快く出していただきました。
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これで味がさらにふくよかになりました。
美味しいです。
口福の神様がここに降臨されました。
大満足なランチです。
皆さまお分かりの様に私がこのお店を取り上げなかった理由はコスパ最高のお店だからです。
この味で600円です。
教えたくなくなる気持ちはご理解いただけますよね・・・

それでは(^_-)