今日は「芸妓(げいぎ)読本」の話です。 
芸者
“今芸妓に求められているものは?”という課題に取り組み、花街側を含めた色んな分野の人々に意見を求めたのが、昭和10年5月に発行された「芸妓読本」(三宅狐軒著、全國同盟料理新聞社刊)でした。
これは稀覯本 (きこうぼん)です。Netで調べましたら現在12,000円の値付けがされていました。
今回本当に苦労してその本を探しました。
つきましてはその一部を以下に記しましたのでご覧ください。
昭和初期の芸妓さんのこの職業への向き合い方が理解できると思います。

一、芸妓は日々のおつとめを、厳しくすべし。
朝は午前十時までに起きて身の廻りの掃除、衣裳の手入れをして、入浴は三時までにすまし、何時お座敷がかかっても行けるよう大事にすること。
二、髪結いと化粧は、定められたる見だしなみを致すべし。
髪結い賃は惜しまず日髪にし、遠出、芝居行き、その他、これに類する時以外には、一切女優髭、ハイカラ髪を結わぬこと。なお髪結いの待ち時間に、お客様、抱え主、朋輩の噂を慎むこと、化粧も当世風を避け、京白粉、京紅を用い、耳采や髪の生え際などに白粉が固まっているのは、素人くさく芸妓として恥ずべきこと。
三、お稽古ごとは、芸妓学校で定める諸芸を習得すべし。
舞、唄、三味嫁、鳴物、大鼓、笛の諸芸を一通り習得のうえ、一芸に励み、芸妓がお座敷にて私は立方(舞)だから地方は出来ないなどといわぬこと、それには髪結いの待ち時間にも、口三味線で唄の稽古をすることが肝要。
四、お座敷への道すがらは、舞台の花道と心得るべし。
お座敷へ行く途中、朋輩と喋りながら歩いたり、男衆(箱屋)と並んで歩かぬよう、往来にはどんな人が歩いているか解らず、将来、大切なお客様になる方もおられるから、一流の芸妓として後指を指されぬように品位を守ること。
五、お座敷入りは、作法正しく入るべし。 
お茶屋へ入る時は、冬ならば襟巻、コートその他の被り物を取り、履物は邪魔にならぬよう片隅へ揃えて脱ぎ、お座敷の前まで来ると、襖を開いて敷居の外にお尻を置き、両手を敷居際についてお客様に笑顔で挨拶し、応答あって後、はじめて内へ入ること。
六、主客を見極め、取りなしを慎重にすべし。
お座敷へ入ると、まず主客を見極め、解らぬ時はお茶屋に聞き、お手前様(招待側)よりお客人に気を配り、上座のお客入を大切にすることはもちろん、同特に下座のお客様も丁重にもてなすこと。
下座のお客人は、将来、大切なお客様になられる方で、特に床柱を背負っている上座のお客人より、花柳のためになるお客入が多く、また芸妓の人気も下座のお客人から出る場合が多いことを忘れぬよう。
七、芸妓はみだりにものねだりをするべからず。
芝居行き、買物はもちろん、お座敷で袂から会の切符を出して買取リねだるのは、橋のたもとで物売りが押売するのとご同様のこと故、固く慎むこと。なお食べ物のねだりが最もいやしくお座敷でご馳走をねだったり、お客様の帰られた後、勝手に食べ物を注文するに至っては、芸妓の一番の恥辱と心得ること。
八、座替りは、必ず検番、お茶屋を通すべし。
御贔屓のお客様が、他の座敷にいらっしゃるからとて、お茶屋の指図を待たずに、勝手に座替りして花代をつけてもらわぬよう、止むなく座替りしたり、座敷をぬける特は、必ずお茶屋または検番の許しを得て、代りの人が来てからぬけること。
九、お座敷中はみだりにお茶屋の電話を使うべからず。
勝手にお座敷をぬけ、お茶屋の電話で長話するは、おつとめを疎かにする固故、屋形、検番などへの商売の用の時のみ、断わって電話を借り、電話代は必ず支払うこと。僅かな電話代を胡麻化したり、惜しむ人がありますが、先の食べもの回様、その人の意地汚い日常を物語ること故、ゆめゆめお支払いを忘れぬよう。
十、お客様の屋形入りは厳禁なるべし。
お茶屋でお馴染をつけてもらったお客様を、お茶屋を通さず無断で屋形へ引き入れるのは芸妓稼業を損う因で、お茶屋と芸妓は、持ちつ持たれつ、つまり共存共栄の業であることを忘れぬよう。それに屋形入りするお客様に緑な人はなく、意地汚い遊びの末に、女は欲張り、男は己惚れで角突き合し、とどのつまりは喧嘩別れになることは間違いなし。
十一、亘耶さんへのおつとめは、専一丁重に心かけるべし。
旦那さん持ちの芸妓は、目分のご主人と思い、専一におつとめすること。閨捌きは 巧みに滞りなく、しかも事後は慎しいご挨拶と身じまいを忘れぬこと。淫に乱れ、あと汚なきは、早々のお暇の因になり、どこまでも芸妓らしい技でおつとめすること。


当時の旦那は芸者を落籍(ひか)せて、お妾さんにしたか方も多かったと聞き及んでいます。
昔のお妾さんって大変なのですよね。
お妾さんになったら、まずは本宅に妾になった旨の挨拶に出向きます。
するとそこで本妻さんにお子さんがいる場合には子供は作らないことを条件にだされます。
仮にお妾さんに子供ができたら、その子の臍の緒と引き換えに手切れ金が渡されて、その子はその旦那の本宅との縁がないことを承諾させられます。
明治時代の法律が非嫡出子(ひちゃくしゅつし)を認めてなったので仕方のないところなのかもしれません。

当時のお妾さんは、今見たいに携帯がないので旦那さんとは自由気ままに会えないのです。
ひたすら“私待つわ〜♪、いつまでも待つわ〜♪”のあみん状態です。
当然のことながら本宅に電話するのは厳禁です。

一番酷(ひど)いのはお妾さんが、不慮の病気、事故等で亡くなった時、旦那さんは通夜や葬式にもでられないそうです。当然の事ながら逆の場合の旦那さんがなくなった場合もお妾さんは旦那さんの通夜や、葬式にも出られないのです。

結構厳しい環境での夫婦?関係ですが、その代償としてありあまる時間と不自由ないお金(含不動産)が渡されていますので、如何なものでしょうか・・・

今でこそお妾の子供って死語ですが、僕らの世代では山口百恵さんがそうでしたし、西武グループの堤義明、清二氏もそうだったように記憶しています。
昭和は遠くなりにけりですね。


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今日は少し風変わりなお店で昼食です。
今日のお店は西武デパートの屋上にある「かるかや」さんです。

住所: 東京都豊島区南池袋1-28-1 池袋西武屋上
電話:03-3981-0111
定休日:不定休(西武デパートに準ずる)

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お店の外観です。

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西武デパートのB1にかるかやさんの製麺販売店があります。
西武デパート店内は写真撮影厳禁ですので地図でその場所を示します。
ここの切り落とし(二~三人前@50円)はよく買いにきます。美味しいですヨ!

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メニューです。

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今日のオーダー「スタミナうどん」@500円です。
トッピングは生卵、山菜、揚げ玉、油揚げです。
それでは実食です。
このような冬晴れのポカポカ陽気にさぬきうどんを食べるというのは本当に気持ちのいいものです。思わず大好きな仕事のことも忘れてしまいそうです。
味ですか、山菜がなければかなり美味しいですよ。この山菜、多分業務用でしょうか。
妙にくどいです、私はこのような山菜は嫌いです。
白眉は揚げ玉です、香ばしくって美味しいですネ。
麺は太さが不揃いでコシがありいかにもこれぞ手打ちという感じで結構です。
少し塩が効きすぎていますがご愛嬌です。
しいていえば麺汁(つゆ)がぬるいですね。
毎回頼む時にいうのですが、私の欲する温度には達していません。
でもこれが@500円でいただけるのであれば、全く申し分ありません。
B級グルメの頂点のようなお店です。

それでは(^_-)